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清水三年坂美術館蔵 |
江戸時代に明珍派と呼ばれる甲冑(かっちゅう)師たちが生み出した「自在」。鉄の打ち出しや鋲(びょう)留めの技術を駆使し、竜や魚、伊勢エビなどを写実的に形づくった。名が示す通り、体の各部分は自由自在に動かすことができる。そのリアルさは欧米でも称賛され、コレクターらをとりこにした。
本作の胴部は鉄の小さな円筒形のパーツを約260個つなぎ合わせ、とぐろを巻いたり蛇行させたりと複雑な動きができる。それぞれのパーツの下辺には、山形の刻みを入れてウロコを表現。口の中には歯や舌まで再現されている。
「生きているように展示するのが難しい」と学芸員の佐野素子さん。リアル過ぎるだけに美術館泣かせの工芸品でもあるようだ。