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「染付狐お多福図雪輪形敷瓦」

タイル 近代都市の表面(愛知県陶磁美術館)

 


美博ノート
19世紀後期―20世紀前期(明治時代) 個人蔵

 

 明治時代初頭、西洋建築の導入により日本でもタイルが本格的に作られるようになった。始まりは、食器、便器など多種の陶器製品を生産していた瀬戸。

 今展では、瀬戸の職人たちが工夫を重ねて製作した「敷瓦」と呼ばれていたタイルを見ることができる。色や模様が連続する四角い西洋のタイルを模倣するだけでなく、七宝文、亀甲文といった日本の伝統文様のほか、扇形や多角形のタイルに鶴などをあしらっている。本作の雪の結晶を文様にした雪輪形のタイルは、おそらく旅館の壁に使われていたものだという。

 瀬戸のタイルは日本全国に出回ったが、次第に衰退していく。明治後期に強度が高く色彩豊かなタイルが名古屋などで開発され、華やかな絵柄のタイルが住宅の水回りや銭湯で使われるようになった。

(2015年12月2日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)