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【右】竹に雪雀文(すずめもん)【左】薄(すすき)に月図 |
本作は明治時代に作られた、暖炉の両脇に施す装飾用タイルの見本品だ。
手がけたのは、日本における近代窯業(ようぎょう)の父とも言われるドイツ人のゴットフリード・ワグネル。1868(慶応4)年に来日して、博覧会での出品指導などをするほか、自らもタイル製作に関わった。うわぐすりを施した面にひびが入らず角が正確な「旭焼」のタイルは、輸出することを視野に入れてヨーロッパの規格に合わせている。
西洋を真似ることではなく、日本文化の発信が輸出の強みになると考えたワグネルは、タイルに美しい日本画の絵付けをした。米国を中心に輸出され、好評だったという。
92(明治25)年にワグネルは亡くなったが、教え子たちは日本の窯業界の指導者として活躍した。