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1932年、産業技術総合研究所蔵 |
タイルの需要が増えた大きなきっかけは、1923(大正12)年の関東大震災だった。れんが建築の多くが倒壊したことで鉄筋コンクリートの建物が造られ、外壁や内壁にタイルが用いられた。
大震災の数年前に設置された国立陶磁器試験所では、将来的に建築部材としてタイルが有望だと見込み、研究に力を注いでいたという。果物や花の透かし彫り、凹凸のついた絵を施すなど装飾的なタイルを生み出した。試作するだけではなく、一般の建物に使ったり、宮家に納めたりしていた。
タイル作りから発想を得た作品もある。本作のランプの明かり部分は、ガラスをはめ込んだ丸窓の枠に使ったタイルを応用した試作品。台には装飾が施され、柔らかなオレンジ色の光が印象的だ。