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「守山 達磨大師」

国芳 謎解き木曽街道六十九次之内(中山道広重美術館)

 


美博ノート
1852(嘉永5)年 大判錦絵

 

 展示している揃物(そろいもの)71枚の中で、最も分かりやすい国芳の駄じゃれが描写されているのが本作。

 九年もの間、壁に向かって座禅を組み、悟りを開いたとされる達磨(だるま)大師にまつわる故事「面壁九年」が題材となっているが、達磨大師が「山」のように積み上げられた「盛り」そばを食べているので「守山」。さらに、面壁の「面」が蕎麦(そば)の「麺」にも掛かっている。

 偉人など格式の高いモチーフを高尚でないさまに描く「やつし」の手法を使って、大層な修行を積んだ達磨大師も俗っぽく描かれた。大きな腹をさらけ出し、とぼけた表情で蕎麦をすする達磨大師の姿は何とも滑稽。学芸員の前田詩織さんは、「単純明快な造形の奥に様々な趣向が凝らされた、江戸のウィットを感じる作品」と話す。

(2016年3月23日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)