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1852(嘉永5)年 大判錦絵 |
展示している揃物(そろいもの)71枚の中で、最も分かりやすい国芳の駄じゃれが描写されているのが本作。
九年もの間、壁に向かって座禅を組み、悟りを開いたとされる達磨(だるま)大師にまつわる故事「面壁九年」が題材となっているが、達磨大師が「山」のように積み上げられた「盛り」そばを食べているので「守山」。さらに、面壁の「面」が蕎麦(そば)の「麺」にも掛かっている。
偉人など格式の高いモチーフを高尚でないさまに描く「やつし」の手法を使って、大層な修行を積んだ達磨大師も俗っぽく描かれた。大きな腹をさらけ出し、とぼけた表情で蕎麦をすする達磨大師の姿は何とも滑稽。学芸員の前田詩織さんは、「単純明快な造形の奥に様々な趣向が凝らされた、江戸のウィットを感じる作品」と話す。