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1860年、鯨と海女の研究室(個人)蔵 |
伊勢志摩が舞台とされる本作。画面左半分で海女たちが作っているのは「熨斗(のし)アワビ」だ。
アワビの身を外側からかつらむきにし、琥珀(こはく)色になるまで干して、竹筒などで押し伸ばして作る。縁起物として贈答品にされたり、お供物として伊勢神宮へ献上されたり、全国各地に派遣された伊勢御師(おんし)(参拝の案内をする神職)が持参する伊勢土産として使われてきた。
古くから神宮への献上品を作るのは男性の作業。現在も三重県鳥羽市国崎町で、その伝統が受け継がれている。
慶事に使う熨斗袋の右肩にある熨斗。中の黄色い短冊状の紙は、元は熨斗アワビだったそうだ。