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「装飾扇 菊に蝶」

陶芸家としてのエミールガレ展(大一美術館)

 


美博ノート
1878年

 

 日本の扇子をモチーフにして作られた、装飾用の絵皿。キクの花の後ろに、浮世絵のような湖水風景が広がっている。黒のエナメルが塗られた扇子の親骨部分には、金箔(きんぱく)で描かれた薩摩藩島津家の家紋が。島津家を選んだ理由については「形が興味深かったのでは」と市原理江子学芸員は推測する。

 江戸時代から、伊万里焼など色鮮やかな日本の陶器がヨーロッパに輸出されていた。ガレは、それに影響を受けた陶作品を数多く生み出している。しかし絵柄はどこか西洋風だ。生まれ育ったフランス・ナンシーで培った感性を通して、日本を表現しようとしているのが伝わってくる。

(2016年7月5日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)