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1883年 |
貝殻を背に乗せ泳ぐ2匹のコイの手綱を引くのはカエル。このユニークな構図は、ラファエロの名画「ガラテアの凱旋(がいせん)」のパロディーといわれる。本家は女神ガラテアが貝殻に乗り、2頭のイルカを御している。それらのモチーフをカエルなどに替えた意図は不明だ。ガレは自由な発想力で思いがけない作品を作り出し、人々を驚かせてきた。その真骨頂と言えるだろう。
高さ31センチ、幅36センチと大ぶりな置物は、まるで本物のようなカエルの皮膚や貝殻の色が目を引く。これは、エナメルを何層にも塗り重ねて表現しているという。「このリアルな質感はガラスでは出せない。陶器だからこその魅力が表れた作品」と市原理江子学芸員は話す。