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1994年 |
花鳥は古くから自然美や吉祥の象徴とされてきた。今展では館所蔵の花鳥画から、近現代の日本画を中心に41点を紹介する。名古屋大学博物館の協力のもと、題材になった花鳥の写真や解説が添えられ、鳥のさえずりを聞きながら鑑賞できる。
水面に映る2羽のカワセミ。日本画家・市野龍起(たつおき)の作品だ。父は「鳥の画家」と称された日本画家の市野亨。その影響で、自身も百羽近くの鳥を飼育して写生に励んだそうだ。
使われた岩絵の具は粒子状で、色を重ねると下の絵の具が透けて見えるのが特徴。群青色の水面の下から、細かく色分けされたパズルのような模様がうっすら見える。「ぜひ絵の近くに来て、日本画材の美しさを見てほしい」と主任学芸員の小柳津綾子(おやいづあやこ)さんは勧める。