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朝見香城「四季花鳥図」

名品コレクション 花鳥の宴(古川美術館)

 


美博ノート
絹本着色

 

 大きな金屛風(びょうぶ)が展示空間を華やかに演出している。名古屋画壇で活躍した、日本画家の朝見香城が描いた。

 絵巻や屛風は、原則右から左へ時間が流れる。右隻にはヤマザクラに夏のバラ。スズメを追いかけるように視線を移すと、左隻には赤く色付いたモミジや冬のスイセンが咲いている。大きくM字を描くように鳥の視線をたどると、四季の移ろいを感じられる画面構成になっている。

 巨木のもとには、極楽のシンボルといわれるクジャクと国鳥のキジ。どちらもつがいなのは伝統的な花鳥画の特徴で、子孫繁栄を表すためだ。人が一度に見渡せる三曲で一場面を完結させ、視線を引き付けて、うまく誘導してくれる作品だ。

(2016年8月2日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)