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1902年 OGATAコレクション |
1902年に出版された「装飾資料集」は、ミュシャが提案するデザイン総覧のようなもの。説明文などは一切載っておらず、様々な角度から捉えた動植物や人物、食器などが描写された72枚の図版からなる。
19世紀末から花開いた芸術様式アールヌーボーの思潮であった「自然から学ぶ」精神が、大いに詰まった内容だ。
本作は、分解されたユリの花をスケッチした1枚。単に全体像を描くだけではなく、葉や花びら、根に至るまで、構造や特徴などを事細かに観察し、分析している。
デザイン化する際は、どの部分を生かし、どの部分をそぎ落とすか取捨選択し、形や色を単純化したり抽象化したりして「文様」へと変化させていくのだという。