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「黄道十二宮 ラ・プリュム誌のカレンダー」

アルフォンス・ミュシャ デザインの仕事(清須市はるひ美術館)

 


美博ノート
1896年 OZAWAコレクション

 

 文芸誌「ラ・プリュム」の宣伝用として発行されたカレンダー。画面下の暦は小さく実用的とはいえない。鑑賞目的だったことがうかがえる。

 ミュシャの作品には、円形の装飾パーツが多く登場する。本作でも、女性の背後にある円形には十二星座を、暦の両脇の円内には、昼を象徴するヒマワリ、夜のケシとともに太陽と月を描き、配置している。暦ということを意識し、関連するモチーフと円形とを巧みに組み合わせたデザインだ。

 また、横顔を見せる女性の髪は「ミュシャ・マカロニ」と呼ばれ、波が渦巻くような特有の表現。背景に施された繊細な装飾と調和し、エキゾチックな雰囲気の女性を際立たせている。ミュシャ・スタイルを凝縮した作品といえる。

(2016年9月20日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)