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「形を離れる帯模様Ⅱ」

人と大地が出会うとき(愛知県陶磁美術館)

 


美博ノート
1996年、個人蔵

 

 縄文土器を思わせる作陶をしたという陶芸家が、愛知県瀬戸市出身の栗木達介(1943~2013)だ。

 本作は、晩年に発表した「形を離れる帯模様」シリーズの一つ。帯状の土を組み上げたような形から、模様でもあり、形の一部でもある帯が離れていく様を表した。形と装飾とが一体となって、焼き物という新たな「形態」を生み出していることを示したという。それは、ひも状の粘土を組み上げることで形を作り、装飾を施した縄文時代の火焰(かえん)型土器と共通する。

 栗木はそれまで、上絵で模様をつけていたが、焼き物の造形的な意味を探るうち、本作のような技法に行き着いた。「縄文土器に象徴されるものづくりの原点に立ち返ったのでは」と愛知県陶磁美術館学芸員の大長(だいちょう)智広さんは話す。

(2016年10月11日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)