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「Watchers」

ふりそそぐ白の世界(岐阜県現代陶芸美術館)

 


美博ノート
2014年

 

 ふと視線を感じて振り向くと、整然と並んだ真っ白な鳥たちと目が合う。

 見る者、番人、見張り人。そんな意味の名前がついたこの作品を手がけたのは、インドネシア出身の陶芸家、アルベルト・ヨナサン。モチーフを幾何学的に繰り返す技法を用いて、自然に潜む霊性や宗教性を表現する。本作では同じ石膏(せっこう)型でつくった36羽の陶製のフクロウたちを、等間隔でダイヤ型に並べた。神聖さを表すため、白い土と白い釉薬(ゆうやく)を使用したという。

 暗闇でも目が利くフクロウは、英知や予言の象徴だ。さらに近寄ると、物言わぬ番人たちの額に、第3の目が開いているのが分かる。「心を見透かされるよう。生命の息吹のようなものも感じます」と岐阜県現代陶芸美術館学芸員の岡田潔さん。

(2016年10月25日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)