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「十字架への道」

ブリューゲルとバロックの巨匠(岡崎市美術博物館)

 


美博ノート
ヨハネ・パウロ2世美術館蔵

 

 こちらをじっと見つめるのは十字架を背負い、ゴルゴタの丘をのぼるキリスト。右側には柔らかな光に照らされて、キリストの汗を拭う聖人の姿が描かれる。作者はバロック絵画の巨匠ルーベンスだ。

 16世紀末から始まり、ヨーロッパ全体に流行したバロック絵画。それまでの静謐(せいひつ)な絵画様式とは異なる、人物のダイナミックな動きや、光と影による劇的な演出が特徴だ。王侯貴族や教会から多くの注文を受けるなど、人気を集めた。

 ルーベンスはその潮流の中で最も成功した画家の一人だ。イタリアなどの宮廷画家を務める一方、語学や教養があったため外交官も務めた。各国の画家とも交流し、スペインのベラスケスにも影響を与えたという。

(2016年11月22日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)