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「厨房具」

日本で洋画、どこまで洋画?展(愛知県美術館)

 


美博ノート
1878~79年

 

 欧米の映画は洋画、日本のものは邦画。一方「美術の洋画と日本画はどちらも日本人が描いた絵のこと」と学芸員の久保田有寿(あず)さん。西洋の技法で描けば洋画?現代アートも?今展は所蔵絵画86点で黎明(れいめい)期から現代までの変遷をたどり、一筋縄ではいかない「洋画」に向き合う。

 近代洋画の祖、高橋由一(ゆいち)(1828~94)が描いた本作。佐野藩士の家に生まれ、西洋の石版画に感銘を受けて日本画から転向。幕府の洋学の教育機関などで学んだ。すりこぎやセイロといった身近な道具が、写実的に描写される。

 西洋の技術を積極的にとり入れた時代。久保田さんは「じっとりとした油絵の画面に、すべてをリアルに描きとってやるという当時の画家の気迫を感じます」と話す。

(2016年11月29日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)