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「Stairs」

日本で洋画、どこまで洋画?展(愛知県美術館)

 


美博ノート
2008年

 

 油彩でキャンバスに描くことに変わりはないが、現代アートと呼ばれる絵画は果たして「洋画」?

 特定の団体に属さず、世界的に活躍する日本人画家も多い今、「洋画であることを意識する画家は少ない」と学芸員の久保田有寿(あず)さんは話す。重厚感を与えるための額縁を用いず、サブカルチャーなどの新たな要素も取り込んで、軽やかに表現する傾向にあるという。

 バンコクでも活動した現代画家、小林孝亘(たかのぶ)による本作。木々と階段という身近な風景が簡略化され、一見アニメのワンシーンのようにも見える。油彩特有の凹凸はなく、表面が均一に塗られる。

 明治に始まる「洋画」の歴史をたどる今展。高橋由一(ゆいち)から奈良美智(よしとも)までを通観すると、その表現の多様性や、定義の難しさを目の当たりにする。

(2016年12月13日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)