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重要美術品、南北朝時代、佐野美術館蔵 |
日本刀に光を当てて様々な角度からのぞき込むと、刃の部分にキラキラと輝く線が浮かび上がる。これは地鉄(じがね)と刃の境目にあたる刃文だ。鎌倉時代になると、刀工は刃文の形に工夫を凝らし、まるでサクラの花や波、雲のような美しい文様を施した。「光がきれいに当たって刃文がよく見える目線の高さを探してみてください」と学芸員の志田理子さんは話す。
本作は刃長約35センチの脇指。刀身全体に焼きが入った「皆焼(ひたつら)」で、ちぎれ雲が浮かんだような華やかな刃文が特徴だ。刀工・広光は、波のようにうねる刃文「のたれ」を窮めた名工・正宗(まさむね)の弟子と伝わる。師匠の「のたれ」の波をさらに広げ、壮麗な「皆焼」を生み出した広光。「伝統を受け継ぐだけでなく、新しいものを作り出したいという気持ちがあったのではないでしょうか」