1990年、ナカヤマは宮内庁から、現天皇の即位式に使うコーヒーカップ&ソーサーを受注した。「皇太子だった頃から、ナカヤマの洋食器を普段使われていたことがご縁となったそうです」と美濃焼ミュージアム所長の渡部誠一さん。
それまで約100年間使われていたのは、仏・セーブルの食器。そのデザインを踏襲して、さらに菊の紋章の追加を頼まれたという。白地には、宮内庁が入手した当時のセーブルの素地をしのぐ、高品質なボーンチャイナを使用。転写した金彩は、すぐはがれることのないように、通常11%のところを35%の金が施された。「100年ぶりのご注文ということで、少なくとも100年は持つものにしたいという当時の中山保夫社長の熱意が伝わってきます」