今展は、高級食器メーカー・ナカヤマの洋食器を中心に展示しているが、中には、煎茶器セットも並ぶ。
豪華な菊模様は、多治見で25年ほど前まで行われていた「金腐らし」という加飾法による。アスファルトを油で溶いたもので素地に絵柄を描き、劇薬のフッ化水素をかけると、絵柄以外の部分がへこむ。洗い落として金を塗り焼成すると、金彩に鮮やかな濃淡が生まれる。しかしフッ化水素は骨を溶かすほどの毒物で、後処理に手間も費用もかかるため、製陶界では今ほとんど使われていない。
バブル崩壊後、安価な外国製品の流入によりナカヤマも打撃を受けたが、2003年の製陶会社解散まで、商品の質を守ろうと妥協を許さなかった。「ひたむきな企業姿勢から学ぶことは多いです」と、美濃焼ミュージアム所長の渡部誠一さんは語る。