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エリザベト・ルイーズ・ビジェ・ルブラン「リラを弾く女性」

よそおいの200年(ヤマザキマザック美術館)

エリザベト・ルイーズ・ビジェ・ルブラン「リラを弾く女性」
1804年
ヤマザキマザック美術館蔵

 1789年のフランス革命の前後には、ファッションにも変革がもたらされた。華美で人工的なロココ文化に息苦しさを覚えた人々は、シンプルで古典的なスタイルを追い求めるように。その手本となったのが、古代ローマやギリシャだった。

 微笑をたたえる女性を描いた本作。着ているのは、木綿でできたシミーズ風のドレスだ。手にした竪琴リラや、頭を飾る月桂冠(げっけいかん)に至るまで、古代ギリシャの風俗を模している。木綿は86年の英仏通商条約によってイギリスから大量に流入。その軽さや価格の安さから、絹に代わる素材として受け入れられた。

 だがこのドレス、生地が薄すぎて冬場には肺炎にかかる女性が続出したという。いつの時代も、おしゃれには、やせ我慢がつきものだったようだ。

(2017年7月11日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)