1804年
ヤマザキマザック美術館蔵
1789年のフランス革命の前後には、ファッションにも変革がもたらされた。華美で人工的なロココ文化に息苦しさを覚えた人々は、シンプルで古典的なスタイルを追い求めるように。その手本となったのが、古代ローマやギリシャだった。
微笑をたたえる女性を描いた本作。着ているのは、木綿でできたシミーズ風のドレスだ。手にした竪琴リラや、頭を飾る月桂冠(げっけいかん)に至るまで、古代ギリシャの風俗を模している。木綿は86年の英仏通商条約によってイギリスから大量に流入。その軽さや価格の安さから、絹に代わる素材として受け入れられた。
だがこのドレス、生地が薄すぎて冬場には肺炎にかかる女性が続出したという。いつの時代も、おしゃれには、やせ我慢がつきものだったようだ。