絵画や彫刻、映像などを通じて、表現された意味を問い直す本展。
これは、陶器の破片を用いて戦争を描いた作品のうちの一部。よく見ると、陶片には「82」「37」といった番号が入っている。第2次世界大戦下で製造され、生産地ごとの番号が振られた「統制陶器」の破片だ。国の管理下に置かれた窯業(ようぎょう)生産の様子がうかがえる。
作者は、不用品を使って作品作りをする佐溝力(さみぞちから)さん(70)。身近なものを使うことで戦時下の日常を表し、「カケラで底辺から見た戦争を描きたかった」と話す。
黒線は爆弾を、その中の赤色は戦争で流された血をイメージしている。じっと見ていると、破片が、落ちた爆弾で逃げ惑う人々のように見えてきた。