1968年、滋賀・近江八幡から京都・嵯峨野へ移り住んだ志村ふくみ(93)は、母の豊(とよ)から独立。その後は、精力的に創作活動をしながら、世界各地を旅して、表現の幅を広げた。
この「雪輪屛風」(展示は2月12日まで)は79歳の時の作。体調を崩して療養中に、以前購入した金屛風を見て着想したという。「日々の生きるしるし、私にとって日記のようなもの」という紬織(つむぎおり)の残り裂(きれ)を、雪輪や松皮菱(びし)、水車、源氏香など、日本の伝統文様の形に切り抜き、屛風に貼った。
今展の作品すべてを所蔵する滋賀県立近代美術館の元学芸員・桑山俊道さん(66)は、「マチスの晩年の切り絵作品に影響されたのでは」と話す。「色や形で四季を表しているよう。遊び心が感じられますね」