1組4作家の作品から、家族や土地など身近な関係性の中に潜む「現代の物語」を読み解く本展。
写真家の志賀は、大きく引き伸ばした写真を壁一面に配したインスタレーションを見せる。写真に写るのは、貨物用エレベーターの中で眠るように目を閉じ、寄り添う人々だ。
被写体は皆、機械産業の従事者だという。土着の物語を視覚化する作品を手がける志賀が、自動車産業の集積地、豊田の物語として選んだテーマは「機械と人」。「機械化された現代に潜む『生命のノイズ』を、志賀は見つめている」と学芸員の能勢陽子さんは話す。
機械の無機質さと眠りから連想される「死」の感覚と、被写体の生々しい存在感とが共存する。「死と再生の物語でもあるんです」