「お茶の時間にまつわる器」がテーマの今展。19世紀以降の西欧のティーセットやコーヒーセットのほか、日本の志野茶わんなどで陶磁文化をたどる。
紅茶やコーヒーは17世紀ごろまでに西欧に伝来した。1709年、ドイツで、西欧初の磁器の製造に成功し、翌年マイセン窯が誕生。「磁器は陶器に比べて白く、薄くて丈夫。初期は中国の器を模倣して、取っ手のないカップが作られました」と話すのは、同館学芸員の林いづみさん。
その後、使い勝手を考え、取っ手が付いた。表面には緻密(ちみつ)な花の装飾が施され、虫の絵もあった。虫は技術が未熟だった頃の名残。不純物によってできた黒い点を隠す柄だったが、やがてデザインの一つとなった。