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「寿老人」/「南極寿星図」

ザ・対決! 比べて感じる日本画(桑山美術館)

「寿老人」/「南極寿星図」

 今週は「寿老人」を描いた日本画2点を紹介する。寿老人とは、中国の伝説上の人物で、長寿を授ける神ともいわれる。

 橋本関雪(1883~1945)の「寿老人」(部分)=写真左=は、険しい顔つき。漢詩が添えられ、画面に緊張感が漂う。関雪は、漢学の素養と画才を持ち合わせ、京都画壇の重鎮(じゅうちん)・竹内栖鳳(せいほう)に弟子入りするも、対立して画塾を飛び出してしまう。「彼の勝ち気な性格が、寿老人の顔つきに表れているようです」と学芸員の前田明美さん。

 一方、冨田渓仙(けいせん)(1879~1936)の「南極寿星図」(部分)=同右=は、優しい表情。老人に鼻先を近づけるシカも愛らしい。渓仙は京都の四条派に習い、さらに独学で文人画や古仏画などを学び、吸収した。「自由闊達(かったつ)でユニークな人柄が、本作からも垣間見えます」と前田さんは分析する。

(2018年4月24日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)