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「緑色のテーブルの上の静物」

ヴラマンク展 絵画と言葉で紡ぐ人生(パラミタミュージアム)

「緑色のテーブルの上の静物」
1907年 油彩 カンバス

 仏の近代絵画、フォービスム(野獣派)の巨匠モーリス・ド・ヴラマンク(1876~1958)。本展では、彼の第二期ともいえる「セザニアン期」から最晩年までの作品76点を時代を追って展示する。

 初期の作品は、ゴッホの影響を受け、強烈な色彩と激しい筆触が特徴だったが、その後画風は大きく変化する。1907年、パリでセザンヌの死後1年の回顧展が開かれると、若い芸術家たちは大きな影響を受けた。ヴラマンクもその一人。同年に描かれた本作は、明確な輪郭線や平面的な着色、光あふれる色彩などがそれをはっきり示す。「面による空間の再構成や、単純化された形態の美しさを表現していますね」と学芸員の湯浅英雄さん。この後、色彩表現はより穏やかに、調和を深めていく。

(2018年5月8日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)