園芸文化が花開いた江戸時代。戦乱の世が終わり、武士から庶民まで草花をめでる習慣が広まった。本展では、名古屋園芸(名古屋市中区)の「雑花園(そうかえん)文庫」が所蔵する植物図譜などで、その豊かさを紹介する。
本作は、49種の桜が実物大に描かれた図巻。作者の広瀬花隠(生没年不詳)は狩野派に学んだ桜の絵の名手で、桜の写生画も多く残した。
同文庫が所蔵する1800年代の図譜には、200を超える桜の品種が描かれている。八代将軍徳川吉宗が、隅田川沿いや飛鳥山などに桜を植えて花見の名所を造ると、一層親しまれる存在になった。庶民の間で流行した花の番付表には、「西方の大関」と記されている。