縮れた葉、牡丹(ぼたん)のように折り重なった花びら。突然変異が生み出す「変化朝顔」は江戸の文化文政期(1804~30)、熱心な愛好家らの手で広がり、珍重さを競う品評会も催された。
本作は、江戸の植木商・成田屋留次郎が出版した変化朝顔の図譜三部作のうちの一部。120点余りの彩色図には、見た目の特徴を捉えた品種名と育成者名が添えられている。中でも目立つのは、江戸以外の育成者。タイトルの「都鄙(とひ)」も、栽培の担い手が郊外にもいたことを示す。
朝顔の番付表や図譜も多く出回った。「出版文化の発展も後押しして、園芸植物の魅力や栽培技術が広がった」と学芸員の坂上しのぶさんはみる。