「置くとパス(オクトパス)」。最近は受験の縁起物として、願掛けをされるタコ。日本では古くから信仰の対象になり、民話や伝承も各地に残る。本展では、浮世絵や漁具、古文書や標本などを展示し、日本人とタコとの関係を多面的に紹介する。
タコは暗い海底でも目が利くとされ、イボのように見える吸盤を持つことから、眼病や皮膚病治癒の霊験が信じられてきた。本作は、廃寺となった千葉県鴨川市の日蓮宗の寺院にあった、タコを描いた絵馬の一つ。「同じ構図の絵馬が複数あるので、手本を見ながら描いた人もいたのでは」と学芸員の縣(あがた)拓也さんは話す。
吸盤を並べて「め」の字を描いたものや、タコ2匹が魚を担ぐ、大漁祈願と思われる絵馬も。食べてよし、願ってよしと、タコは人に多くのものをもたらしてくれるようだ。