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「いろだまよこしろあか」

元永定正展(清須市はるひ美術館)

「いろだまよこしろあか」
2001年、アクリル・カンヴァス、宝塚市蔵

 ころころと転がる色鮮やかな色玉は、元永定正(1922~2011)が描く特徴的なモチーフだ。

 元永は三重・伊賀上野出身。故郷から兵庫・神戸に出てきたとき、摩耶山の頂上に輝く色とりどりのネオンが宝物に見えたという。そこから着想し、「寶(たから)がある」という作品(1954年ごろ)で描いた丸形が色玉の始まり。その後、絵本や絵画、立体作品にも登場していく。

 本作は晩年の作品だ。「『新しいアートはいつも、アートの世界の外からやってくる』との元永の言葉には、未知への挑戦を感じます」と同館学芸員の藤本奈七さん。赤と白の物体が生き物なのか無機物なのか、色玉は出ているのか吸い込まれているのか――想像させる余地を残す。

(2018年9月4日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)