大きく翼を広げた白頭ワシ。尾羽根の裏側まで1本1本線を入れていることに驚く。鋭い爪は、つややかに輝いている。白頭ワシが国鳥の米国では、このモチーフは好まれたという。
輸出用陶磁のノベルティはパーツに分けて成形し、組み立ててから焼成、彩色して絵の具を焼き付ける。パーツの数が多いほど緻密(ちみつ)な作品に仕上がるという。「本作は数十ものパーツで作られている。かなり凝った作品です」と鈴木俊昭館長。
制作した光和陶器は現存しない。最盛期300社以上あったノベルティ工房だが、1980年代の円高で廃業が相次ぎ、現在はほとんど残っていない。「愛知・瀬戸に素晴らしい技術があったのを知ってもらいたい」と鈴木館長は話す。