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「白頭鷲(わし)」

愛されたセト・ノベルティ展(横山美術館)

「白頭鷲(わし)」
1965年ごろ、同館蔵、高さ44センチ

 大きく翼を広げた白頭ワシ。尾羽根の裏側まで1本1本線を入れていることに驚く。鋭い爪は、つややかに輝いている。白頭ワシが国鳥の米国では、このモチーフは好まれたという。

 輸出用陶磁のノベルティはパーツに分けて成形し、組み立ててから焼成、彩色して絵の具を焼き付ける。パーツの数が多いほど緻密(ちみつ)な作品に仕上がるという。「本作は数十ものパーツで作られている。かなり凝った作品です」と鈴木俊昭館長。

 制作した光和陶器は現存しない。最盛期300社以上あったノベルティ工房だが、1980年代の円高で廃業が相次ぎ、現在はほとんど残っていない。「愛知・瀬戸に素晴らしい技術があったのを知ってもらいたい」と鈴木館長は話す。

(2018年10月2日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)