仏のガラス工芸家で香水瓶を多く手がけたルネ・ラリック(1860~1945)は、ガラスの特性を生かした様々なデザインに挑戦した。なかでもティアラ形は、ジュエリーを制作していた頃、飾り櫛(ぐし)にも用いた、ラリック独自のフォルムだ。
「彼女らの魂」は、本来付属品にすぎなかったふたに、梅の木にぶらさがる裸婦の繊細なデザインを施し、水晶彫りのように仕立てた。浮世絵などに描かれた梅のイメージだろうか。日本美術の影響がうかがえる。宝飾品の金属細工で、細やかな造形を多く手がけた経験が生きているようだ。
学芸員の田中竜也さんは、「日本と西洋の美が融合した意匠は見事で、ラリックの香水瓶を代表する逸品です」と評価する。