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「彼女らの魂」

ルネ・ラリックの香水瓶(豊橋市美術博物館)

「彼女らの魂」
1914年 北澤美術館蔵

 仏のガラス工芸家で香水瓶を多く手がけたルネ・ラリック(1860~1945)は、ガラスの特性を生かした様々なデザインに挑戦した。なかでもティアラ形は、ジュエリーを制作していた頃、飾り櫛(ぐし)にも用いた、ラリック独自のフォルムだ。

 「彼女らの魂」は、本来付属品にすぎなかったふたに、梅の木にぶらさがる裸婦の繊細なデザインを施し、水晶彫りのように仕立てた。浮世絵などに描かれた梅のイメージだろうか。日本美術の影響がうかがえる。宝飾品の金属細工で、細やかな造形を多く手がけた経験が生きているようだ。

 学芸員の田中竜也さんは、「日本と西洋の美が融合した意匠は見事で、ラリックの香水瓶を代表する逸品です」と評価する。

(2018年10月23日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)