名古屋市美術館開館30周年を記念し、6千点以上の所蔵品から「エコール・ド・パリ」「メキシコ・ルネサンス」など四つのテーマで、92点を展示する。
本作は、20世紀初頭にパリに集った芸術家たち「エコール・ド・パリ」の代表格アメデオ・モディリアーニ(1884~1920)が描いた少女像。
一目見て彼の作品だとわかる特徴的な、細長い首、アーモンド形の目。真正面を向いた肖像画でありながら、不思議と威圧感がないのは、「ずれやゆらぎといった『抜け感』のおかげ」と、同館学芸員の保崎裕徳さんは分析する。真っすぐなブルーグレーの瞳に対して、かすかに開いた口や、少し曲がった鼻、背景のライン。純粋さと素朴さが同居したその表情に、どこか親しみを覚える。