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西村千太郎「納屋橋風景」

ザ・ベスト・セレクション(名古屋市美術館)

西村千太郎「納屋橋風景」
1930年、同館蔵

 名古屋市美術館は、地元を中心に東海地方にゆかりのある作家の作品も収集している。

 本作は、同市出身の洋画家・西村千太郎(1907~94)の風景画。描かれているのは、名古屋名所の一つ「納屋橋」だ。市内を流れる堀川にかかる橋で、13年に、現在のような鋼製のアーチ式に改修、近代的な印象の橋となった。

 描かれた30年当時、橋周辺には電線が張り巡らされ、市電が走っていたが、西村は情感を損ねることを懸念したのか、それらを省き、洋館や煙突から上る煙などを描写。異国情緒ある雰囲気を演出している。保崎裕徳学芸員は、「パリの風景などを描いた洋画家の佐伯祐三に影響を受けた西村は、そのスタイルを名古屋に落とし込んだのです」。

(2018年11月13日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)