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「灰釉緑釉(かいゆうりょくゆう)流し狛犬(こまいぬ)一対」

まさるときつねとこま犬(土岐市美濃陶磁歴史館)

「灰釉緑釉(かいゆうりょくゆう)流し狛犬(こまいぬ)一対」
八剣神社、1759年、土岐市指定文化財

 神社の狛犬といえば、主流は石造りや木彫。しかし陶磁器産地の東濃地方では、陶製の狛犬を奉納していた。本展には、岐阜県土岐市や近隣市の神社に伝わる47体が一堂に会する。

 狛犬は神様の守護獣として、獅子や山犬をモデルとしてきた。江戸時代にはその容姿が多様化。阿形(あぎょう)と吽形(うんぎょう)の一対で伝わる本作は、小木曽庄九郎作といわれる。愛嬌(あいきょう)のある表情とリラックスした姿勢が特徴だ。

 胴体部分に奉納者名と制作年が、台座側面には作者名が刻まれている。学芸員の鍋内愛美(まなみ)さんは「焼成前に刻銘された形跡から、受注生産だったことが分かる」と話す。村の代表者が、鳥居の建て替えなどの機会に奉納したと推察されるという。

(2019年1月8日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)