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「言の種」

アイチアートクロニクル 1919-2019 展
(愛知県美術館)

1990年 成田弘撮影
1990年 成田弘撮影

 現在のアートシーンでは、既存の鑑賞場所に縛られない自由な場「オルタナティブ・スペース」の動きが盛んだ。

 愛知県を拠点に活動する現代美術家・渡辺英司(1961年~)は、県内各地に展示スペースを開設し、若手や海外の作家らとのネットワークづくりなど、様々な「場」を築く。本作は、手製のスタジオ(同県阿久比町)でのインスタレーション「言の種」。中央の台に置いた星図に「言葉で物が分類される社会」を投影し、星などの点以外の文字や線を修正液で消すことで、未分化の世界を表現した。

 美術館に絵画や彫刻を並べるだけの時代は過ぎ去った。「色んな場所でアートは生まれている。多くの人が目撃することが大切であり、いかにドキュメントを残すのかが美術館の課題です」と学芸員の副田一穂さんは話す。

(2019年4月16日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)