本展は、展示機会の少ない民具などを披露するシリーズ展の初回で、「消防」がテーマ。地域に伝わる消火道具や衣装、資料など約140点で、江戸時代から戦後までの消防の歴史や信仰を紹介する。
展示室の入り口付近に並べられた絵画の一枚が「子供遊水合戦」。幕末ごろの消火道具を使って、にぎやかに水を掛け合う姿が描かれる。画面左には、当時の消防ポンプ「竜吐水」。その水を受ける大きな傘には「一石橋」の文字が見える。「これは一橋(徳川)慶喜を表していて、右側が旧幕府軍。菊の紋章が描かれた竜吐水を使う左側は官軍を示しています」と学芸員の三島一信さん。幕末の世相を風刺しているという。
絵には、じょうろや革の袋を使って水を飛ばす姿も。「当時使われていた生活道具が見られるのも、面白いですね」