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「秋葉火伏札」

火消しまいる 消防の歴史と道具
(安城市歴史博物館)

江戸時代後期ごろ
江戸時代後期ごろ

 地域の「消防」の歴史を紹介する本展。中でも民間信仰を伝えるのが、江戸時代後期ごろの防火のお守り「秋葉火伏札」だ。火防の信仰を集めた秋葉山(静岡県)で配られた札で、「御札 秋葉寺」と書かれた包み紙には、3枚の木版刷りの札が入っている。

 「火伏せといえば全国的には愛宕神社が有名ですが、三河などの愛知県東部では、秋葉信仰の方が盛んでした」と学芸員の三島一信さんは話す。講中の代参者が物見遊山を楽しみながら秋葉山へと向かい、村に火難よけの札を持ち帰ったという

 「この札一式は、地元町内会が保存してきたもの」と三島さん。地域の信仰のあつさがうかがえる。札の一枚に描かれるのは、カラス天狗の姿をした秋葉大権現だ。白狐の上に立ちながら、安城の平穏を見守ってきたのだろう。

(2019年4月30日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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