地域の「消防」の歴史を紹介する本展。中でも民間信仰を伝えるのが、江戸時代後期ごろの防火のお守り「秋葉火伏札」だ。火防の信仰を集めた秋葉山(静岡県)で配られた札で、「御札 秋葉寺」と書かれた包み紙には、3枚の木版刷りの札が入っている。
「火伏せといえば全国的には愛宕神社が有名ですが、三河などの愛知県東部では、秋葉信仰の方が盛んでした」と学芸員の三島一信さんは話す。講中の代参者が物見遊山を楽しみながら秋葉山へと向かい、村に火難よけの札を持ち帰ったという
「この札一式は、地元町内会が保存してきたもの」と三島さん。地域の信仰のあつさがうかがえる。札の一枚に描かれるのは、カラス天狗の姿をした秋葉大権現だ。白狐の上に立ちながら、安城の平穏を見守ってきたのだろう。