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「戦中の回想画」

火消しまいる 消防の歴史と道具
(安城市歴史博物館)

「戦中の回想画」

 愛知県安城市にある浄玄寺の前住職、故・桜井純さんが色鉛筆で描いた回想画群は、民衆の消防活動をつぶさに教えてくれる。前住職は太平洋戦争の時代、愛知県警察部に所属し、1945年の熱田、名古屋空襲時に出動した。

 「焼夷弾火災には縄のハタキはだめ」との題がついた一枚には、油脂焼夷弾による火災を懸命に消し止めようとする市民の姿が描かれる。ガソリンなどが封入された油脂焼夷弾には、水よりも縄で作ったハタキで消火するようにという国の指導が紹介されている。しかし「あわててはたくと首がぬけてつかいものにならない」「焼石に水」だったとか。

 学芸員の三島一信さんは、「細やかに描かれていて見応えがあります。今は残っていない昔の道具や、それらの使い方を知ることができる貴重な資料です」と語る。

(2019年5月7日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)