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柳原義達「道標」/中谷ミチコ「あの山にカラスがいる」

中谷ミチコ その小さな宇宙に立つ人(三重県立美術館)

柳原義達「道標」/中谷ミチコ「あの山にカラスがいる」

 石膏と樹脂を素材に作品を制作する彫刻家・中谷ミチコ(1981~)。本展では、新作を含む彫刻22点と、中谷が強く影響を受けた具象彫刻家・柳原義達(1910~2004)の作品群8点を同じ空間に展示し、新たな彫刻の可能性を探る。

 床に配置されたブロンズのカラス像5点は、「道標」と題した柳原の連作(1978~82年)。風の中で逆立つ羽根や地面を踏みしめる様子がデフォルメされている。カラス群の奥にあるのは、中谷の「あの山にカラスがいる」(2016年)。彫刻の原型を型取りした長方形の石膏の凹部に、黒く着色した樹脂を流し込んでフラットな表面に仕上げた。モチーフが同じカラスでも、全く異なる表現方法が新鮮だ。「対比させることで視点が変わり、双方の存在がより鮮明に見えてくる」と中谷は話す。

(2019年7月30日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)