日本では先史時代から行われてきたという捕鯨。本展では、クジラがモチーフの浮世絵や衣類、クジラの一部を使った民芸品など350点で、捕鯨の歴史や日本人との関係性を紹介する。
江戸後期から昭和中期にかけて、網元が大漁を祝って作った着物、万祝。年末の決算時に作製し、年始には関係者一同が晴れ着として着用、寺社へ参拝したという。今もツチクジラ漁が行われている千葉県・房総半島が発祥で、伊豆や東北にも伝わった。
「クジラ一頭七浦賑わう」と言われたほど、大きな経済効果があったクジラ漁。この万祝には、漁に使われたモリとツチクジラの胎児が描かれている。「大漁祈願と子孫繁栄、獲物が増えるようにという願いが込められているのでは」と学芸員の縣拓也さん。