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「万祝(まいわい)」

クジラはアートだ!(鳥羽市立海の博物館) 

白浜海洋美術館蔵
白浜海洋美術館蔵

 日本では先史時代から行われてきたという捕鯨。本展では、クジラがモチーフの浮世絵や衣類、クジラの一部を使った民芸品など350点で、捕鯨の歴史や日本人との関係性を紹介する。

 江戸後期から昭和中期にかけて、網元が大漁を祝って作った着物、万祝。年末の決算時に作製し、年始には関係者一同が晴れ着として着用、寺社へ参拝したという。今もツチクジラ漁が行われている千葉県・房総半島が発祥で、伊豆や東北にも伝わった。

 「クジラ一頭七浦賑わう」と言われたほど、大きな経済効果があったクジラ漁。この万祝には、漁に使われたモリとツチクジラの胎児が描かれている。「大漁祈願と子孫繁栄、獲物が増えるようにという願いが込められているのでは」と学芸員の縣拓也さん。

(2019年8月27日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)