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「人物・文字文様円筒土器」

古代中南米文明展(光ミュージアム)

550~830年(マヤ古典期後期)、同館蔵
550~830年(マヤ古典期後期)、同館蔵

 紀元前から幾多の文明が栄え滅んできた中南米。本展では、インカやマヤを中心に土器や織物など約80点を展示し、古代中南米の文明の変遷をたどる。

 紀元前後から16世紀ごろまで中米で栄えたのが、マヤ文明だ。使われた土器は円筒型が多く、装飾が施されたものは貴族が使っていた。本作は背面にマヤ文字で「カカオ」と書かれており、儀式の際に王がカカオ飲料を飲むための器だった。カカオは通貨として使われ、神に奉納もされる神聖なものだった。

 描かれた人物の頭には緑色の羽根があしらわれている。当時、世界の中心の色は緑色とされ、王の飾りにはヒスイなども珍重された。「マヤ文明の栄えたグアテマラや日本の新潟県などでは古来硬玉ヒスイが見つかった。日本でも縄文時代に緑のヒスイが好まれるなど、両者には共通点がある」と学芸員の松本庸子さん。

(2019年9月17日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)