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「人物土偶」

古代中南米文明展(光ミュージアム)

1000~1470、同館蔵
1000~1470、同館蔵

 もともと南米の小さな部族社会だったインカ帝国は、周辺に栄えたいくつもの文化を15世紀に征服して大帝国となった。その一つがチャンカイ文化(11~15世紀)。ペルーの中部海岸地帯で形成された。ユーモラスな造形の土器や色鮮やかな織物が見つかっている。

 写真の土偶は墓から出土した。両手を上げるのは神に祈るポーズで、顔や体の文様は入れ墨。頭部の小さな穴には羽根を差し、当時の人々と同じように飾り付けていたようだ。

 当時は貴族階級の人が死ぬとミイラにして、衣装を替えたり、食べ物を供えたり、生きているように扱った。「これによって権威が保持され、政治的にも利用していました。土偶も副葬者を表したのかもしれません」と学芸員の松本庸子さんは話す。

(2019年10月1日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)