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「デュルシュ通り」

フランスに生きた日本人画家 木村忠太の世界(ヤマザキマザック美術館)

「デュルシュ通り」

 フランスで暮らし、南仏やパリの風景を描きながら、光の表現を追究した画家・木村忠太(1917~87)。本展は、60年代~晩年の油彩を中心に計58点を展示し、画業をたどる。

 木村は印象派などに憧れ、36歳のとき、妻とフランスへ渡った。しかし最初の数年は、絵の方向性が定まらず、心身不調にも陥った。「転機は南仏旅行でした。明るい光に感動し、心身も徐々に良くなった。絵の方向性も見えてきたようです」と同館主任学芸員の吉村有子さん。

 パリの閑静な通りを描いた本作はその頃の作品。木村は油彩の制作時、横に素描を貼り、風景を目にした当時の感動や光を思い出しながら描いた。「街のシックな雰囲気が表れている。建物や車を青く染めるほど、夕暮れ時の青紫の空の印象が強かったのだろうと想像します」

(2020年1月14日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)