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「梻嵌装長方箱(たもがんそうちょうほうはこ)」

木組(きぐみ) 分解してみました(トヨタ産業技術記念館)

「梻嵌装長方形(たもがんそうちょうほうはこ)」

 日本には「うつくしきもの」をつくり、愛(め)でる文化が息づく。木材を組み合わせてつくる「指物(さしもの)」もその一つ。部材の一方に突起の枘(ほぞ)を、もう一方に枘穴を施し、差し込むことで、金釘を使わずに丈夫で流麗な意匠を生む。この手法は「接手(つぎて)」と呼ばれ、種類は数多い。

 本作は、人間国宝の木工芸家・須田賢司が手がけた。5種類の木を使い、蓋(ふた)はタモ材の杢目を引き立たせるため、黒色の拭漆(ふきうるし)で仕上げている。使用した接手は「留め形隠し蟻(あり)形接ぎ」「包み小穴」「本核矧(ほんざねは)ぎ」「留め形隠し三枚接ぎ」。本展では、蓋と中箱の構造がわかる模型も並べ、緻密(ちみつ)な仕事ぶりを紹介している。

 「欧米では、高い技術を外から見せることでものの価値を高める意識があるが、あえて技を隠すところが日本特有の感性」と須田さん。

(2020年2月18日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)