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美博ノート

「紫式部図」

日本美術 デザインと文様(光ミュージアム)

  • 上村松園「紫式部図」(部分) 1915~29年ごろ

 そっと口元に寄せた袖には、ひし形を組み合わせた「四菱」の文様。一番上に羽織った唐衣には「花菱」が鮮やかに浮かぶ。日本画家・上村松園(1875~1949)の手になる本作。様々な伝統文様を身にまとった紫式部が、月を眺めている。

 「松園は古画や古典文学から、有職装束をよく研究して描いたようです」と学芸員の今泉たまみさん。これらの柄は、鎌倉時代に描かれた「紫式部日記絵詞」にも見られると説明する。

 腰から下がったひもに見えるのは、市松模様。江戸中期の歌舞伎役者、佐野川市松がこの模様のはかまをはいて流行したが、元は公家が用いた格式ある有職文様だ。市松模様は霰(あられ)模様とも言われ、ここに「か=鳥の巣の意、※漢字表記は穴+果)文様」を合わせれば「かに霰」と呼ばれる文様に。画中のひもにも、ところどころに白いかの紋が。日本の意匠の奥深さが、この作品にひそんでいる。

(2020年3月31日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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