フランス象徴主義を代表するオディロン・ルドン。
今展は、活動した19世紀末の潮流や、日本でルドンがどのように受容されてきたのかを所蔵品の約70点で考察する。
岐阜県出身の山本芳翠(1850~1906)はルドンと共通の師に学んだ。
1878年に渡仏して2年ほど後の作「裸婦」は、透き通るような肌の女性がこけむす森に横たわり、視線の先にはクモの巣。物語性を感じさせる。
女性像は他の作品を模したと思われ、ヌードという西洋における美を写実的に描き出す。その一方、クモの巣に視線を合わせるため、頭や腰の位置を描き直している。
「より美しく見せるため実際には取れないポーズにデフォルメしながら、不自然に見えない高い技術が感じられます」と、学芸係長の廣江泰孝さん。
パリで学んだ当時の西洋美術の見せ方や技術の全てがつぎ込まれた一作だ。