「東山61号窯」は名古屋大東山キャンパスにある古代遺跡だ。2003年11月、食堂の改築工事に伴い、同大考古学研究室により発掘調査が行われた。
同窯は6世紀の中ごろ、青灰色で硬質な須恵器を生産していたとされる。窯本体は見つかっていないものの、灰を捨てた跡が確認されている。生産された須恵器は古墳に納めるなどしたと考えられ、残されていたものは失敗作と見られる。
東山キャンパスがある名古屋市東部から愛知県豊田市西部は多数の古窯跡が集中し、猿投山西南麓古窯跡群と呼ばれる。起伏に富んだ地形を利用してトンネル状に穴窯が築かれ、燃料となる木材も豊富だったことから、千度以上の高温で焼く須恵器や陶器の生産に適していたと考えられる。
キャンパス内にはこれまで約20基の窯跡が確認され、東山61号窯を含む4基について発掘調査が行われている。