目に鮮やかな極彩色のクジャクとミミズクが、とぼけた表情でこちらを見つめる。平面的な表現と豊かな色彩で、動植物や日常生活を描くティンガティンガ絵画の特色がよく表れた作品だ。
アフリカ・タンザニアで、1960年代に生まれた絵画様式で、創始者が故エドワード・サイディ・ティンガティンガ。路上で絵を売る人の姿を見て、建材の板にエナメルペンキで描き始めたという。現在は血縁者を中心とした弟子たちが、観光客の土産用に描いている。
「ティンガティンガ氏は簡素化した描線や背景を塗りつぶした素朴な表現でしたが、後進はグラデーションなどを使ってそれぞれに表現を発展させています」と、館長の水野恒男さんは話す。東アフリカのマコンデの人々による彫刻を収集する傍ら、様々な画家のティンガティンガ作品を30年ほど前までに買い集めた。
本展では初公開の25点を展示。常設のティンガティンガ本人の作品と併せて楽しむことができる。